確定申告と生成AI

 毎年二月になると、確定申告という厄介な季節が巡って来る。かつては、この制度の意義もろくに理解せぬまま、手計算で引き出した数字を無造作に用紙へ書き込み、それを税務署の窓口へ持参するという誠に牧歌的なことをやっていた。しかし、科学的精緻さを欠いたその振る舞いが祟り、ある時は申告漏れを指摘され、追徴課税という手痛い代償を払ったこともある。

 その頃は私も起業の端くれで、帳簿の類いは税理士の先生に一任していたはずなのだが、今にして思えば、あの先生はいったい何をしてくれていたのだろうという疑念が頭をもたげる。もっとも、当時は税務署という未知の権力に対する本能的な恐怖心から、ただひたすら専門家にすがりつき、言われるがままに処理をお願いしていたのである。

 ほどなくして、その税理士の先生に見切りをつけることができたのは、「freee」という会計ソフトの出現によるものであった。銀行口座と直結し、金銭の出入りが自動的に管理される仕掛け自体は、他のソフトでも可能であったかもしれない。しかし、e-Taxやマイナンバーといった新たな制度的基盤が整備されたおかげで、今や自宅の机に向かったまま、実に容易く正確な申告が完結するようになったのである。こうしたデジタル技術がもたらす恩恵の大きさには、ただただ感謝の意を表するほかない。

 そのような確定申告の作業を、つい先ほど終えたばかりである。この一仕事を片付けると、ようやく過去の一年に一つの区切りをつけたような、清々しい気分になれる。そして、心身ともに新たな一年の軌道へと乗り出す準備が整うのである。

 回顧すれば、去る一年間は、会社員としての本務がかつてなく多忙を極め、その分、個人事業の方面はかなり疎かにならざるを得なかった。その当然の帰結として、売上も利益も少なからず縮小してしまった。現在のところ、私の生活基盤において個人事業の占める比重はそれほど大きいものではない。しかしながら、将来を見据えた時、確固たる事業の種を蒔き、それを育てていくことは急務となっている。単に目先の稼働時間を増やして収入を得るのではなく、よしんば一時的に目減りしようとも、五年後には自律的に回転する事業の歯車を軌道に乗せねばならないのである。

 さて、一年前の自分と現在の自分とで、最も劇的な認識の転換が生じているのは、生成AIという新しい知能の道具を用いることで、私のような平凡なビジネスパーソンの生産性が飛躍的に向上するという、揺るぎない確信を得たことである。この事実は、会社員としての私のみならず、個人事業者としての私にも等しく適用される普遍的な効用を持っている。

 少し前までは、山積するタスクを勤務時間内だけでは到底処理しきれず、やむなく時間外の労力を投入せざるを得なかった。それこそが、個人事業へと向けるべき時間と活力を奪っていた最大の原因である。しかし、この頭脳労働の一部を効率化し、優秀なエージェントとしてAIを活用することで、これまで自分の限られた能力や時間では不可能であったことを、彼らに代行させることができるようになった。

 私は今後、この技術の恩恵を最大限に活用し、五年後の結実に向けて新たな事業の構築へと乗り出していくつもりである。確定申告という過去の清算を終え、私の心は今、雪晴れの空のように明るく澄み渡っている。未来に向かって全神経を集中させる用意は、すっかり整ったのである。