干柿を求めて

余は市に出でて干柿を求む。
冬の間、干柿を食はむと欲す。されど十一月、市の棚に干柿を見ず。探せども探せども、見えず。
年の瀬になりて、やうやく干柿、棚に並ぶ。何故ぞ。干柿は正月の供物なれば、年末にのみ商ふなり。
余は思ふ。何故に冬のみぞ。何故に正月のみぞ。
干柿は甘く、柔らかく、滋味深し。冬の寒き日に食すれば、心温まる。春の麗らかなる日に食すれば、爽やかなり。夏の暑き日に食すれば、涼を得。秋の寂しき日に食すれば、慰めとなる。
されど、市は余の望みを聞かず。年末のみ干柿を売る。
余は思ふ。一年を通じて干柿を食はむと。春も夏も秋も冬も、干柿とともにあらむと。
市よ、聞け。干柿を年中売れ。余は年中、干柿を求めむ。
ああ、干柿よ。汝は何故に季節を選ぶや。
余は願ふ。一年を通じて、干柿と共にあらむことを。